アブレーション治療の紹介
不整脈とは
心臓は全身に血液を送り出すポンプの働きをしていますが、ポンプを動かしているのは電気刺激です。不整脈は電気刺激に異常が生じることによって起こります。脈が速くなってしまう頻脈性不整脈と遅くなってしまう徐脈性不整脈があります。発生している不整脈を正確に診断し、必要に応じて色々な治療を行います。
治療手段としては、薬物治療およびカテーテルアブレーション治療、ペースメーカー治療などの非薬物治療があります。
カテーテルアブレーション治療の対象となる不整脈
発作性上室性頻拍(房室結節回帰性頻拍、房室回帰性頻拍)、心房粗動、心房細動、心房頻拍、心室性期外収縮、心室頻拍などのほとんどの頻脈性不整脈を治療することができます。
特に心房細動は加齢とともに増加し、70歳代の5%、80歳代の10%程度の割合で起こる比較的起こりやすい不整脈です。高齢化社会の訪れとともに年々患者数が増加しており、日本でも2030年には100万人を超えると予測されています。自覚症状は動悸、胸痛、めまいなどがありますが、自覚症状がなく健康診断等でたまたま見つかることも多くあります。脳梗塞や心不全の原因となるため、診断と治療が重要となります。
薬物治療で頻度を少なくすることはできますが、根治するためにはカテーテルアブレーション治療が必要となります。近年、心房細動に対するカテーテルアブレーション治療の成績が向上しており、全国的に施行件数が年々増加しております。
治療法について
足の付け根や頸の血管から長くて細いカテーテルを挿入し心臓まで到達します。カテーテル先端から高周波電流を流して原因部位を焼灼することで不整脈を治療します。治療時間は不整脈の種類によって変わりますが、1-3時間程度のことが多いです。入院期間は、心房細動以外は2泊3日、心房細動は4泊5日を基本としております。
患者さんへ
不整脈の種類は多く、症状、年齢、高血圧や心不全の有無などにより治療方針も多岐にわたります。薬物治療とカテーテルアブレーションを組み合わせて治療したりもします。
まず、ご自身の不整脈がどのような種類か、また今後どのような問題が起きるのかを知ることが大切です。なるべくわかりやすく説明することを心がけておりますが、ご不明な点は何度でもお聞きになっていただいて構いません。その上で最適な治療方法を一緒に相談していければ思います。気になることがありましたら、些細なことでも構いませんのでお気軽にご相談にいらしてください。
循環器内科医長 佐藤秀明