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病院指標

令和3年度病院指標

年齢階級別退院患者数

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年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 100 31 79 59 132 252 503 1,030 990 491

上記表は、当院に入院された患者さんのうち、2021年度に退院された患者さんの人数を10歳刻みで集計した値です。
当院は、浅間山の南のふもとに広がる地域の中核病院として、質の高い医療を幅広い年齢層の患者さんに提供しています。患者総数は3,667人で70歳代が最も多く、全体の30%を占めています。平均年齢は約70.3歳でした。 前年度と比較して、患者総数は169人(+5%)の増加となっています。特に0~9歳代の小児が季節性流行感染症の増加により+62人と激増しました。また、60歳以後の患者の割合が約8割を占め、地域社会の高齢化を反映していることが分かります。

診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)

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外科
 DPCコード  DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
 平均
在院日数
(全国)
 転院率  平均年齢  患者用パス
060160x001xxxx 鼠径ヘルニア 15歳以上 鼠径ヘルニア手術等 56 5.18 4.74 0.00% 74.11
060340xx03x00x 胆管(肝内外)結石、胆管炎 限局性腹腔膿瘍手術等 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 43 11.07 9.21 0.00% 79.74
060210xx99000x ヘルニアの記載のない腸閉塞 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 37 10.11 9.00 0.00% 75.11
060035xx010x0x 結腸(虫垂を含む。)の悪性腫瘍 結腸切除術 全切除、亜全切除又は悪性腫瘍手術等 手術・処置等1 なし 定義副傷病 なし 21 13.67 15.76 0.00% 74.67
060335xx99x00x 胆嚢炎等 手術なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 19 10.05 10.94 0.00% 73.84

鼠径(そけい)ヘルニアは全身麻酔可能で開腹手術歴の無い場合は、積極的に腹腔鏡下ヘルニア修復術(TAPP)を行っています。平均在院日数は5.18日です。平均年齢は70.6歳から74.1歳に上がっています。
高齢者の胆管結石、急性胆嚢(たんのう)炎で強い黄疸がある時は胆汁が流れるように内視鏡的減黄処置(内視鏡的胆道ドレナージ)や経皮経肝胆嚢穿刺ドレナージを行って十分に黄疸を改善させた後に手術を行っています。平均在院日数は11.8日です。平均年齢は80歳前後で変化有りません。
腸閉塞に関しては高圧酸素療法(HBO)やイレウス管にによる減圧、また挿入困難症例に対しては経鼻内視鏡を使ってイレウス管挿入する場合もあります。
昨今増えている高齢者の大腸癌腸閉塞は、一時的に大腸ステントを留置し、抗凝固剤の薬効切れを待つ間に術前検査を行い手術します。
高齢者胆管癌に対しては、初期に経鼻胆管ドレナージチューブ留置し、細胞診の結果胆管ステント留置して化学療法を行っています。

循環器内科
 DPCコード  DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
 平均
在院日数
(全国)
 転院率  平均年齢  患者用パス
050070xx01x0xx 頻脈性不整脈 経皮的カテーテル心筋焼灼術 手術・処置等2 なし 62 4.42 4.79 1.61% 66.02
050130xx9900xx 心不全 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 41 31.80 17.35 4.88% 83.29
050050xx9910xx 狭心症、慢性虚血性心疾患 手術なし 手術・処置等1 1あり 手術・処置等2 なし 28 4.50 3.06 0.00% 68.43
040081xx99x0xx 誤嚥性肺炎 手術なし 手術・処置等2 なし 24 38.63 20.57 4.17% 85.88
050210xx97000x 徐脈性不整脈 手術あり 手術・処置等1 なし、1,3あり 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 21 15.38 10.24 4.76% 84.95

2018年から心房細動・発作性上室性心拍などの頻脈性不整脈に対してカテーテルアブレーション治療を行っており順調に症例を重ねています。
全国的にも増加している心不全は循環器科入院患者の中でも多数を占めます。心不全で入院される方は高齢者が多く、病気により低下したADLを回復させるために多くの時間が費やされます。このため予防が極めて重要であり、退院後の生活への介入が他職種により行われます。
安定した狭心症・虚血性心疾患はできるだけ外来で冠動脈CT・心筋シンチなどにより状態を評価することで検査入院適応を慎重に決めています。徒に検査件数を増やして合併症を増やさないことを心がけています。
誤嚥性肺炎は社会の高齢化に伴い増加しているため、一般内科の一員として対応しています。

 

内科
 DPCコード  DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
 平均
在院日数
(全国)
 転院率  平均年齢  患者用パス
050130xx9900xx 心不全 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 44 22.50 17.35 0.00% 87.70
110310xx99xxxx 腎臓又は尿路の感染症 手術なし 32 13.25 13.14 3.13% 80.41
040081xx99x0xx 誤嚥性肺炎 手術なし 手術・処置等2 なし 28 27.61 20.57 10.71% 83.07
030400xx99xxxx 前庭機能障害 手術なし 26 4.69 4.92 0.00% 72.65
060050xx97x0xx 肝・肝内胆管の悪性腫瘍(続発性を含む。) その他の手術あり 手術・処置等2 なし 21 9.43 10.48 4.76% 77.52

当院の診療圏は高齢者の割合が多く、高血圧や糖尿病等を持病に抱えながら年齢を重ねると心不全で入院加療が必要な状態に陥る事も多く、内分泌内科チームや循環器内科チームと連携して一般内科でも対応し、治療及び再発予防につとめております。また、高齢者の女性の割合は多く発熱や体調不良の原因が膀胱炎に端を発した尿路感染であることも多く、また前立腺に問題を抱える男性高齢者も増えてきており、炎症性疾患の原因が尿路感染症であることを内科医で診断、治療を開始し、泌尿器科と連携して治療及び再発予防につとめております。
また、当院は高齢者施設からの紹介も多く、地域の高齢化率も高くなり嚥下機能の低下を一因とする誤嚥性肺炎の症例が多くなっております。絶食補液抗生剤投与等で改善を図りリハビリスタッフと協力して残された嚥下機能で在宅復帰できるよう工夫し、嚥下困難な症例に緩和ケアも含めての治療方針の見直しなどの検討を行っております。
一般に、前庭機能障害に分類される疾患であるめまいを主訴に受診され、入院加療を要する症例も多く、当院には耳鼻科常勤医はおりませんが、非常勤の耳鼻科専門医に指導を仰ぎながら治療を行っております。
2021年度年より消化器内科専門医の医師が常勤医として在籍したため、他院かかりつけだった患者さんが当院で診療が受けるようになりました。その他にも、いままでは当院外科で診療されていた症例も消化器内科で診療を受けるようになったため、内科でも肝胆道系疾患の割合が増えております。

整形外科
 DPCコード  DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
 平均
在院日数
(全国)
 転院率  平均年齢  患者用パス
160800xx01xxxx 股関節・大腿近位の骨折 人工骨頭挿入術 肩、股等 78 54.06 25.32 3.85% 84.97
160760xx97xx0x 前腕の骨折 手術あり 定義副傷病 なし 41 4.24 4.99 0.00% 66.46
160690xx99xxxx 胸椎、腰椎以下骨折損傷(胸・腰髄損傷を含む。) 手術なし 38 41.34 19.34 0.00% 76.50
07040xxx01xxxx 股関節骨頭壊死、股関節症(変形性を含む。) 人工関節再置換術等 29 43.41 20.63 0.00% 73.07
070230xx01xxxx 膝関節症(変形性を含む。) 人工関節再置換術等 27 44.85 23.02 0.00% 74.67

骨粗鬆症に伴う骨折と人工関節手術が入院患者数の上位を占めています。人口高齢化に伴って、骨折と変形性関節症は増加しています。本年度より大腿骨近位部骨折に対して、二次性骨折予防継続管理料が新設されました。大腿骨近位部骨折を受傷し手術が必要となった場合、入院中から骨折予防を開始し、外来で骨粗鬆症治療を継続していくことが求められています。大腿骨近位部骨折を受傷した場合、1年以内の骨折発生率が高いことと、骨折後の寿命が短くなることが明らかとなっているからです。骨折の治療、リハビリテーションに限らず、入院中より二次性骨折予防継続管理を実施し、外来で骨粗鬆症治療を継続します。

脳神経内科
 DPCコード  DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
 平均
在院日数
(全国)
 転院率  平均年齢  患者用パス
010060×2990401 脳梗塞(脳卒中発症3日目以内、かつ、JCS10未満) 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 4あり 定義副傷病 なし 発症前Rankin Scale 0、1又は2 25 32.92 15.63 12.00% 80.04
040081xx99x0xx 誤嚥性肺炎 手術なし 手術・処置等2 なし 20 28.70 20.57 0.00% 87.55
110310xx99xxxx 腎臓又は尿路の感染症 手術なし 20 21.15 13.14 5.00% 84.65
010160xx99x10x パーキンソン病 手術なし 手術・処置等2 あり 定義副傷病 なし 12 40.75 19.21 0.00% 78.58
050130xx9900xx 心不全 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 11 17.64 17.35 9.09% 88.82

脳梗塞:当院では脳外科医師との脳卒中on call体制で24時間365日の脳卒中診療体制をとっております。急性期治療だけでなく、リハビリを当院で継続して行う場合があり、患者さんや家族が希望すれば期間に余裕をもってリハビリを行うことも行っております。

尿路感染症:高齢者の尿路感染症の場合は、感染症による廃用が進む場合もあり、入院後にリハビリなども行う形をとっています。

誤嚥性肺炎:神経難病患者の在宅診療や脳梗塞後の患者さんを診療する機会も多く、ご高齢な方の誤嚥性肺炎での入院も多くなっています。

心不全:当院の診療圏は高齢者の割合が多いため、高血圧や糖尿病等を持病に抱えながら年齢を重ねると、心不全で入院加療が必要な状態に陥る事も多く、内科チームや循環器内科チームと連携して対応し、治療及び再発予防につとめております。

パーキンソン病:高齢の方は疾患の進行と共に生活を変える必要があり、安全の面からのアドバイスもしています。介護保険の導入、リハビリ、身障の申請なども行っています。訪問診療している神経難病患者は個々の患者さんに応じてレスパイト入院にも対応しており、在宅療養を継続する助けとなれば良いと考えております。

脳神経外科
 DPCコード  DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
 平均
在院日数
(全国)
 転院率  平均年齢  患者用パス
160100xx97x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 その他の手術あり 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 33 11.48 9.78 3.03% 73.85
160100xx99x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 手術なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 25 9.92 8.30 4.00% 66.72
010060×2990401 脳梗塞(脳卒中発症3日目以内、かつ、JCS10未満) 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 4あり 定義副傷病 なし 発症前Rankin Scale 0、1又は2 24 18.25 15.63 16.67% 72.42
010040x099000x 非外傷性頭蓋内血腫(非外傷性硬膜下血腫以外)(JCS10未満) 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 15 20.60 18.90 33.33% 69.47
010060×2990411 脳梗塞(脳卒中発症3日目以内、かつ、JCS10未満) 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 4あり 定義副傷病 1あり 発症前Rankin Scale 0、1又は2 11 35.36 17.48 18.18% 79.73

〈脳梗塞について〉
当院では脳神経外科・脳神経内科で脳卒中チームをつくり、24時間体制で診断・治療をおこなっています。超急性期には適応があればtPA治療をおこなっています。内頚動脈、中大脳動脈など太い動脈の血栓症に関しては、外部より血管内治療医を招聘し行っています。慢性期リハビリテーションは地域包括ケア病棟、あるいはリハビリテーション専門病院の回復期病床と連携をとり行っています。

〈外傷・非外傷性による脳出血について〉
脳出血の中で、最も多い慢性硬膜下血腫に対しては、局所麻酔下で穿頭血腫除去術を施行し、頭蓋内血腫に対しては全身麻酔下による開頭血腫除去を施行しています。急性外傷、疾患によって、手術が必要であれば緊急手術を行っています。

〈てんかんについて〉
当院のてんかんの治療は、基本的に神経細胞の異常興奮を抑える作用を持つ抗てんかん薬の内服治療が行われます。多くは抗てんかん薬の服薬を続けることで、てんかん発作を抑制することができ、通常の社会生活を送ることが出来るようになります。それに対して、外科治療が有効な場合はてんかんセンターへ紹介致します。

眼科
 DPCコード  DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
 平均
在院日数
(全国)
 転院率  平均年齢  患者用パス
020110xx97xxx0 白内障、水晶体の疾患 手術あり 片眼 302 2.01 2.71 0.00% 75.80
020200xx9700xx 黄斑、後極変性 手術あり 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 6.07
020200xx9710xx 黄斑、後極変性 手術あり 手術・処置等1 あり 手術・処置等2 なし 6.14
020220xx97xxx0 緑内障 その他の手術あり 片眼 5.41
020240xx97xxx0 硝子体疾患 手術あり 片眼 5.36

白内障を中心に、硝子体手術も行っています。クリニカルパスを使用し、白内障手術は1泊2日の入院期間で退院しています。

泌尿器科
 DPCコード  DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
 平均
在院日数
(全国)
 転院率  平均年齢  患者用パス
110080xx991xxx 前立腺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1 あり 45 2.22 2.50 0.00% 72.44
110070xx03x0xx 膀胱腫瘍 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術 手術・処置等2 なし 36 9.75 7.02 0.00% 75.47
11012xxx04xxxx 上部尿路疾患 体外衝撃波腎・尿管結石破砕術(一連につき) 13 2.00 2.59 0.00% 56.15
110310xx01xxxx 腎臓又は尿路の感染症 経皮的腎(腎盂)瘻造設術等 14.08
110080xx9903xx 前立腺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 3あり 12.66

前立腺癌疑いの患者さんを対象に確定診断目的に前立腺針生検を行っております。
通常入院は1泊2日を予定しています。検査後は出血・痛み・感染のコントロール・排尿障害の有無を観察し合併症対策に努めております。

膀胱腫瘍に対する初期治療として経尿道的手術を行っています。
通常入院日数は8日を予定していますが、病状が安定している患者さんには早期退院をおすすめします。また、合併症のある患者さんには安全な手術を遂行できるよう入院術前管理を行い、術後は各患者さんが安心して退院できるように排尿状態が安定するまでの入院を提供しています。

自然排石が難しい腎尿管結石に対して体外衝撃波結石破砕術を行っています。
予定入院日数は2日ですが術後の結石による痛みや尿路感染がある場合は、病状が安定するまで入院管理しています。

産婦人科
 DPCコード  DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
 平均
在院日数
(全国)
 転院率  平均年齢  患者用パス
120140xxxxxxxx 流産 11 1.00 2.44 0.00% 30.91
120090xx97xxxx 生殖器脱出症 手術あり 8.31
120165xx99xxxx 妊娠合併症等 手術なし 11.16
120060xx01xxxx 子宮の良性腫瘍 子宮全摘術等 9.46
120060xx99xxxx 子宮の良性腫瘍 手術なし 5.38

「生殖器脱出症 手術あり」とは、子宮脱や腟前壁脱などの骨盤臓器脱に対して行っている手術分類です。当院では、6日間入院でのクリニカルパスを用いて行っております。

小児科
 DPCコード  DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
 平均
在院日数
(全国)
 転院率  平均年齢  患者用パス
040070xxxxx0xx インフルエンザ、ウイルス性肺炎 手術・処置等2 なし 15 3.00 5.95 0.00% 1.93
100380xxxxxxxx 体液量減少症 14 3.07 10.66 0.00% 4.36
140010x199x0xx 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(出生時体重2500g以上) 手術なし 手術・処置等2 なし 11 4.55 6.13 0.00% 0.00
180030xxxxxx0x その他の感染症(真菌を除く。) 定義副傷病 なし 10 3.50 10.47 0.00% 0.90
040090xxxxxx0x 急性気管支炎、急性細気管支炎、下気道感染症(その他) 定義副傷病 なし 10 3.20 5.83 0.00% 2.00

令和3年度は、新型コロナウイルスの流行も一時的に安定化がみられ従来の流行性感染症が増加し、令和2年度の疾患分類に比較しRSウイルス感染症や手足口病など脱水をともなう急性期疾患が増加した結果(1位-2位,4位-5位)がみられました。しかしながら、インフルエンザの診療数は成人も含め皆無であり、例年秋以降流行が始まるRSウイルス感染症も7月から流行が始まり、従来の季節性流行感染症すべてにわたって新型コロナウイルス流行以前の状況とは異なる流行状況でありました。
また、小児では急性期疾患が例年上位を占めますが新生児関係の診療も多い部類に入ります(3位)。院内分娩取り扱い数は例年平均よりは減少しておりますが、急激な落ち込みは無く、分娩数も徐々に回復してきた印象でありました。めだった重症新生児はみられず、コロナ禍ではありましたが院内感染も無く安心安全な分娩の一年でありました。

初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数

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初発 再発 病期分類基準(※) 版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌  – 1 8
大腸癌 14 28 11 66 1 8
乳癌  15 1 8
肺癌  – 1 8
肝癌  – 17 32 1 8

胃癌:内視鏡検診とピロリ菌除菌により胃癌の絶対数が減少してはいますが、カメラによる検診経験の無い高齢者に進行胃癌が見つかるケースが増加しています。病期Ⅰ~Ⅱが44.4% 病期Ⅲが11.1% 病期Ⅳ44.4%で早期癌と進行癌の2極分化しています。

大腸癌:初診時に遠隔転移がある病期Ⅳの方が10.7%もおられ、進行大腸癌が増えています。病期Ⅰ~Ⅱが39.3%、病期Ⅲが50%です。病期Ⅲ以上が、術後化学療法が必要になるため,病期Ⅳの型も含め6割が抗癌剤治療の対象になっています。
脳梗塞、心筋梗塞の既往から抗凝固薬内服している症例が多く、大腸癌腸閉塞で初診となる症例に対しては、大腸ステ ント、肛門イレウス管挿入留置して減圧(腸が閉塞することで便や消化液やガスが腸管内に溜まってお腹がパンパンの状態になるので、便を通過できるようする。)した後、全身検索し手術としています。術後は化学療法を導入し外来で継続的に治療を行います。

乳癌:当院は検診施設となっており、マンモグラフィー、エコー、マンモトームによる診断機器を揃っています。病期Ⅰ~Ⅱの方が88%ですが、高齢化に伴い病期Ⅲ以上の進行症例も増えています。

肺癌:当院は肺癌CT検診施設となっており、肺らせんCTで低被曝量でのCT検診を行っていますが、呼吸器外科専門医不在のため近隣の医療機関へ紹介手術となります。

肝癌:肝癌に対しては、肝動脈塞栓術やラジオ波による焼灼治療を行っています。転移性肝癌に対しては、可能なものは切除手術を行っています。

成人市中肺炎の重症度別患者数等

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患者数 平均在院日数 平均年齢
軽症  –
中等症 43 17.19 83.05
重症 11 18.36 87.27
超重症
不明

仕事や日常生活での無理がたたり、喫煙や飲酒もひきがねとなった働き盛りの中高年の肺炎患者も一定数あり、そのような肺炎は軽症であることが多く、入院安静、禁酒禁煙で比較的短期間の入院で軽快し退院されます。
その一方で肺炎の主体は高齢者です。加齢による嚥下機能低下や呼吸機能低下により喀痰排出能力も低下し、自覚症状も低下していることから重症化してから受診されることが多くなっています。
入院後も治療に難渋し入院期間も長引くことが多いのが現状です。そのような高齢者も肺炎治癒をめざし、治癒後もリハビリ等で在宅復帰をめざしております。
超重症となってから受診される症例では治療の効果が上がらず、重症例の様にリハビリテーションに移行することなく亡くなってしまうこともあり、入院期間は重症例より短くなる傾向があると考えられます。超高齢者では病院にたどり着けないケースも考えられ、平均年齢も重症例より若干若年になると考えられます。

脳梗塞の患者数

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ICD10 傷病名 発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
I63$ 脳梗塞 3日以内 160 34.54 80.06 14.88%
その他  –

一過性脳虚血発作は受診時に症状が消失していることが多いですが、48時間以内の再発率が高いことから数日入院し、検査、治療を開始しています。
当院では脳神経外科・脳神経内科で脳卒中チームをつくり、24時間体制で診断・治療をおこなっています。超急性期には適応があればtPA治療をおこなっています。内頚動脈、中大脳動脈など太い動脈の血栓症に関しては、外部より血管内治療医を招聘し行っています。
慢性期リハビリテーションは、地域包括ケア病棟、あるいはリハビリテーション専門病院の回復期病床と連携をとり行っているため、リハビリテーション専門病院への転院が大部分を占めています。

診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)

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整形外科
 Kコード  名称  患者数 平均術前日数 平均術後日数 転院率 平均年齢  患者用パス
K0461 骨折観血的手術(大腿) 等 66 7.59 48.11 3.03% 83.23
K0462 骨折観血的手術(前腕) 等 61 3.30 13.90 3.28% 64.23
K0821 人工関節置換術(膝) 等 59 5.03 38.81 0.00% 73.53
K0811 人工骨頭挿入術(股) 36 8.86 43.69 2.78% 82.06
K0483 骨内異物(挿入物を含む)除去術(下腿) 等 18 0.28 1.78 0.00% 59.44

骨粗鬆症に伴う骨折手術と人工関節手術が手術件数の上位となっています。当院では人工関節センターを設置し、入院前のリハビリテーション、術前自己血採血を含めた入院・手術準備から、術後の外来経過観察まで、高齢の変形性膝関節症・股関節症患者にも安全に人工関節置換術が行える体勢を整えています。また、効率的医療が求められる時代ですが、効率的とは入院日数が短いということを目指すのではなく、退院時に十分な生活能力が再獲得できていることが最も効率的な医療であるとの考えに基づき、適切なリハビリテーションを実施したうえで退院を迎えられるように、術後リハビリテーションのスケジュール設定をしています。

外科
 Kコード  名称  患者数 平均術前日数 平均術後日数 転院率 平均年齢  患者用パス
K634 腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(両側) 41 1.34 2.51 0.00% 72.39
K672-2 腹腔鏡下胆嚢摘出術 33 3.42 5.48 3.03% 65.30
K688 内視鏡的胆道ステント留置術 28 1.61 22.57 3.57% 87.68
K719-3 腹腔鏡下結腸悪性腫瘍切除術 22 2.95 10.41 0.00% 72.73
K6335 鼠径ヘルニア手術 等 16 1.81 6.38 0.00% 79.63

ヘルニア手術については、腹腔鏡手術が術後の疼痛が軽いので、短期間の入院で帰宅可能となっています。術後平均日数2.51日まで短縮されています。平均年齢は72.4歳です。
また、全身状態や呼吸器併存疾患がある患者では局所麻酔でのヘルニア修復術も行っています。
在院日数平均6.38日出平均年齢は79.6歳です。
胆嚢から総胆管に落下した総胆管結石に対しては、内視鏡下に総胆管結石を採石した後に腹腔鏡下胆嚢摘出術を行っています。
超高齢者については、胆管結石や胆管腫瘍に対して内視鏡下に胆管ステント(金属ステントも含む)を留置しています。

眼科
 Kコード  名称  患者数 平均術前日数 平均術後日数 転院率 平均年齢  患者用パス
K2821ロ 水晶体再建術 眼内レンズを挿入する場合 その他のもの 等 303 0.02 1.00 0.00% 75.83
K2801 硝子体茎顕微鏡下離断術 網膜付着組織を含むもの
K2682 緑内障手術 流出路再建術
K2821イ 水晶体再建術 眼内レンズを挿入する場合 縫着レンズを挿入するもの

眼科では現在、手術の木曜日を除く、月曜日から金曜日まで外来診察を行っており、白内障、緑内障、角膜疾患、ぶどう膜炎、網膜硝子体疾患と幅広く診療を行っております。
また、糖尿病、高血圧などの全身疾患の合併症を起こすことが多く、他科と連携しながら予防、治療も行っております。
手術では白内障を中心に、加齢黄斑変性、糖尿病性黄斑浮腫、網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫等に対する硝子体注射を積極的に行っております。緊急の手術以外にはなりますが、硝子体手術や緑内障手術も行っています。

循環器内科
 Kコード  名称  患者数 平均術前日数 平均術後日数 転院率 平均年齢  患者用パス
K5951 経皮的カテーテル心筋焼灼術 心房中隔穿刺又は心外膜アプローチを伴うもの 44 1.39 2.34 0.00% 66.64
K5492 経皮的冠動脈ステント留置術 不安定狭心症に対するもの 21 0.10 20.24 4.76% 74.90
K5952 経皮的カテーテル心筋焼灼術 その他のもの 18 2.06 1.89 0.00% 63.89
K5493 経皮的冠動脈ステント留置術 その他のもの 14 3.93 12.79 0.00% 74.79
K5972 ペースメーカー移植術 経静脈電極の場合 13 2.00 9.69 0.00% 82.23

経皮的カテーテル心筋焼灼術は2018年開始以来順調に症例が増加しています。症例により3-4日の入院期間です。当院では胸痛による入院のための緊急心臓カテーテル検査を積極的に受け入れているため、予定よりも緊急の治療症例が多い状態です。またカテーテル治療による成績よりもバイパス手術の方が適切と考えられる症例は連携病院の心臓血管外科に依頼しています。

内科
 Kコード  名称  患者数 平均術前日数 平均術後日数 転院率 平均年齢  患者用パス
K6152 血管塞栓術(頭部、胸腔、腹腔内血管等)(選択的動脈化学塞栓術) 22 1.00 6.55 4.55% 76.68
K697-31ロ 肝悪性腫瘍ラジオ波焼灼療法(2cm以内)(その他)
K6871 内視鏡的乳頭切開術(乳頭括約筋切開のみ)
K682-2 経皮的胆管ドレナージ術
K722 小腸結腸内視鏡的止血術

慢性肝疾患の原因は、以前はB型肝炎、C型肝炎、アルコール性肝炎が主でしたが、近年は代謝疾患(糖尿病、脂質異常症、肥満など)を由来とする脂肪肝関連疾患が増加しています。慢性肝疾患の大きな合併症として肝細胞癌があり、手術、ラジオ波焼灼、肝動脈塞栓術(血管塞栓術)が治療手段として有用です。肝細胞癌は再発が多く反復治療を要し、血管塞栓術のニーズが高くなっています。経動脈的に抗腫瘍薬、塞栓物質を癌に注入し、壊死を図る治療手技です。
また血管塞栓術は肝細胞癌の治療手段としてのみならず、出血性疾患(消化管出血など)、腹部内臓動脈瘤の治療にも応用され、低侵襲治療としての有用性が評価されています。

泌尿器科
 Kコード  名称  患者数 平均術前日数 平均術後日数 転院率 平均年齢  患者用パス
K8036イ 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術 電解質溶液利用のもの 等 31 1.42 7.13 0.00% 75.32
K768 体外衝撃波腎・尿管結石破砕術 等 13 0.00 1.00 0.00% 56.15
K8036ロ 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術 その他のもの 等  –
K783-2 経尿道的尿管ステント留置術  –
K7981 膀胱結石、異物摘出術 経尿道的手術  –

膀胱腫瘍に対して腰椎麻酔下経尿道的手術(内視鏡手術)を行っています。
予定入院期間8日
多くの場合はこの内視鏡手術で根治治療となりますが、切除しきれない浸潤性がんや転移を有するがんにおいては追加治療を高度医療機関に紹介致します。

自然排石が難しい腎尿管結石の治療として体外衝撃波結石破砕術を行っています。
予定入院日数は2日
必要に応じて尿管ステント留置します。
破砕効果不十分な場合は追加で衝撃波治療を繰り返し行いますが、治療効果が見られない場合は尿管鏡治療を行います。

脳神経外科
 Kコード  名称  患者数 平均術前日数 平均術後日数 転院率 平均年齢  患者用パス
K164-2 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術 26 1.08 10.27 0.00% 79.00
K145 穿頭脳室ドレナージ術
K1643 頭蓋内血腫除去術(開頭して行うもの) 脳内のもの  –
K1771 脳動脈瘤頸部クリッピング 1箇所  –
K1772 脳動脈瘤頸部クリッピング 2箇所以上  –

〈脳外科手術について〉
慢性硬膜下血腫は外傷後、慢性的(通常は3週間以降)に血腫がたまり症状を起こす疾患であり,局所麻酔下で穿頭血腫除去術を行っています。

脳内出血は高血圧などにより動脈硬化きたした穿通枝(脳内の細い血管)が破綻して出血を起こし発症するものです。意識障害、片麻痺、言語障害などが主な症状です。
発症、部位、血腫の大きさ、症状などより手術適応を判断し、開頭術(顕微鏡を使用)CT誘導下(CTを撮影しながら血腫の位置を確認しながら摘出)、神経内視鏡下のいずれから手術方法を選びます。手術後症状の回復には長期のリハビリテーションを必要とします。

脳動脈瘤は脳内の比較的太い動脈の一部がふくれて出血を起こすクモ膜下出血。あるいは、偶然にも脳検査などによって発見されます。クモ膜下出血をきたした場合は、再破裂を防ぐ為に開頭術によるクリッピング術(顕微鏡使用)、カテーテルを通して行うコイル塞栓術のいずれかの方法を状態、動脈瘤の場所などに応じて決定します。破裂していない動脈瘤の場合、経過観察を含め慎重に治療方法を決定します。

脳腫瘍は頭蓋内に発生した腫瘍をさしますが、腫瘍が大きく脳の圧迫がある症状をひき起こし、腫瘍周囲にむくみをきたしている重要神経組織、血管組織の傍に存在する場合、手術適応になることがあります。開頭し顕微鏡下で腫瘍を摘出します。周囲には重要組織があるため脳波モニター、神経内視鏡、超音波ドプラー、術中血管造影などを駆使して行います。

産婦人科
 Kコード  名称  患者数 平均術前日数 平均術後日数 転院率 平均年齢  患者用パス
K9091イ 流産手術 妊娠11週までの場合 手動真空吸引法によるもの 11 0.00 0.00 0.00% 30.91
K802-22 膀胱脱手術 その他のもの
K8881 子宮附属器腫瘍摘出術(両側) 開腹によるもの  –
K893 吸引娩出術  –
K8722 子宮筋腫摘出(核出)術 腟式  –

当科で行っている手術の過半数は骨盤臓器脱に対する手術です。その他、良性卵巣嚢腫に対する手術や子宮全摘術、帝王切開手術、初期流産に対する流産手術などを行っております。
流産手術に関しては、人工妊娠中絶は含まれておらず、すべて健康保険が適応される手術が対象となっております。

その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)

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DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一
異なる
180010 敗血症 同一
異なる 10 0.27%
180035 その他の真菌感染症 同一
異なる
180040 手術・処置等の合併症 同一
異なる

〈外科〉
播種性血管内凝固症候群は感染の重症化により血管内での血液の凝固のバランスが崩れてしまう状態ですが、高齢者、糖尿病患者、ステロイド使用中の自己免疫疾患患者で多くみられます。入院後合併症としては発症率0.11%と低く抑えられています。率にして前年度の半分以下となっています。
敗血症は菌血症とも言い、全身の血液に細菌がまわっている状態です。中心静脈栄養カテーテル感染、人工物移植後感染で起こることあります。入院後の発症率は0.27%とこれも昨年度より減少しています。
真菌血症はカビの一種の感染ですが、免疫力が低下している方や中心静脈カテーテル感染でおこります。網膜炎など合併すると視力障害を起こすこともあります。昨年度は発症率0.03%と一昨年度から1/5以下と減少しました。
術後創感染ですが発症率0.05%でした。穿孔性腹膜炎手術も多いことから低く抑えられていると考えます。

〈脳神経外科〉
水頭症に対するシャント術は、シャントチューブが細いため閉塞することがあるので、再手術をおこない症状の改善をはかります。
頭部手術で人工骨を使用することがあるので、時に異物反応をおこし感染をおこすことがあります。通常は異物を除去することで解決します。

〈脳神経内科〉
当院は病院全体で年に2000台以上の救急車を受けており、内科系領域を超えて敗血症など感染症の入院も担当させていただいています。既往症を多数抱えている高齢患者が敗血症となり入院する症例が増えています。