薬剤部
概略
当院は、小諸北佐久地域を中心とした地域医療を担う、病床数246床の2次救急病院です。薬剤部は現在13名の薬剤師により業務を行っています。特別アカデミックな業務を行っているわけではありませんが、ある程度のIT化を進め、当たり前のことをごく当たり前にこなす「地味に凄い薬剤師」を目指して業務に取り組んでいます。
業務紹介
内服・外用薬の調剤
2022年度の院外処方率は93.4%であり、当院薬剤部では主に入院患者さんの内服・外用薬の調剤を行っています。調剤にあたり用法・用量や相互作用、アレルギー歴や副作用歴はもちろん、腎機能や肝機能の状態、必要な検査が行われているか、検査値に問題はないかなどを事前に確認します。
注射薬の調剤
抗がん剤や高カロリー輸液の他、特別な手技が必要な注射薬についても薬剤師が注射薬の調製を行っています。抗がん剤は専用の安全キャビネットにおいて閉鎖式器具を用いて、TPNはクリーンベンチ、その他の注射剤は専用ルームにてミキシングを行っています。
製剤
様々な医薬品が市販されている一方、診療上、それらをさらに加工した薬剤が必要になることがあります。また、診療上で必要な製剤であっても、製薬企業による製造・市販されていないものもあります。こういった現状に対応するため、市販されている医薬品を使用して目的に合った剤形に加工したり、市販されていない薬剤を調製する、いわゆる院内製剤の調製を行っています。
医薬品情報室(DI室)
医薬品に関する情報(添付文書の改訂、安全性情報など)を日々チェックしています。幅広い情報収集に努め、緊急性や重要性、情報の確かさを評価しています。
定期的にDIニュースを発行し、医師、看護師、その他スタッフに向けて、副作用の情報、適正使用に関する情報などを提供しています。
医師や看護師などの医療スタッフからの医薬品に関する問い合わせにも対応しています。
薬剤管理指導
病棟においてチーム医療の一員として入院患者さんの薬物治療のサポートや安全管理を行っています。カンファレンスや回診などにも参加し、他の医療スタッフと情報共有しながら、より良い医療を提供できるよう努めています。
当院では電子カルテを導入しており、検査データなども確認した上で、患者さんの投薬内容(用法用量、相互作用など)が適正かどうか確認しています。
薬物療法の効果や副作用、アドヒアランスの状況、薬物血中濃度などを総合的に判断し、処方設計、用法・用量・剤型の変更、必要な検査の実施などを医師に提案することもあります。
患者さんのベッドサイドに直接うかがい、飲み方・副作用・生活上の注意事項の説明を行っています。薬剤に関する説明を行うだけでなく、患者さんの思いや考えに寄り添った薬物療法ができるようサポートしています。
医師・看護師・その他のスタッフへの医薬品情報提供や、病棟配置薬の管理、病棟におけるリスクマネジメントなどにも関与しています。
保険薬局の皆様へ
疑義照会の方法について
院外処方せんに関する疑義照会の窓口は薬剤部です。専用回線がありますのでご利用下さい。なお、保険等に関しては直接医事課へお尋ねください。
病院代表 0267-22-1070
院外処方箋における疑義照会簡素化プロトコールについて
薬物治療管理の一環として、調剤上の典型的な変更に伴う疑義照会を減らし、患者さんへの薬学的ケアの充実および処方医や保険薬局の負担軽減を図る目的で「院外処方箋における疑義照会簡素化プロトコール」を運用しています。
服薬情報提供書(トレーシングレポート)について
処方せんの右半分は服薬情報提供書(トレーシングレポート)となっています。
保険薬局にて即時性は低いものの「処方医師への提供が望ましい」と判断された内容についてFaxにて服薬情報提供書を送信願います。医師へ情報伝達を行い情報の共有化を図ります。緊急性のある場合には電話で報告して下さい。また、疑義照会簡素化プロトコルを用いて処方変更した際にもご利用してもらってかまいません。
連携充実加算の算定に伴い、新たにがん化学療法専用の服薬情報提供書(トレーシングレポート)を作成いたしました。保険薬局において服薬状況や副作用の有無等聴取した情報をFAXにて送信願います。
スタッフ紹介
薬剤師:13名
専門・認定薬剤師
- 日本静脈経腸栄養学会/栄養サポートチーム専門療法士:2名
- 日本糖尿病療養指導士認定機構/糖尿病療養指導士:1名
- 日本病院薬剤師会/病院薬学認定薬剤師:1名
- 日本病院薬剤師会/生涯研修履修認定薬剤師:1名
- 日本薬剤師研修センター/研修認定薬剤師:3名
- 日本薬剤師研修センター/認定実務実習指導薬剤師:2名
- 周術期管理チーム認定薬剤師:1名
実績(2022年度)
- 外来処方せん枚数 5,468枚/月 (院外処方せん率:93.4%)
- 入院処方せん枚数 2,633枚/月
- 薬剤管理指導: 372件/月
- 退院時薬剤情報管理指導 60件/月
- 麻薬管理加算 10件/月
- 病棟薬剤業務実施加算 算定
- 抗がん剤ミキシング件数 51件/月
- TPNミキシング件数 24件/月
- 一般注射ミキシング本数 3,200本/月
●チーム医療への参画
感染対策チーム、糖尿病サポートチーム、栄養サポートチーム、疼痛緩和チーム
認知症ケアチーム、抗菌薬適正使用支援チーム ほか
職場目標
病院は薬剤師として最も総合的な力を発揮できる職場ではないかと思います。薬の知識のみならず、病態、衛生、法律、医療制度…など幅広い知識が要求されます。薬剤師としてスキルアップを望むなら最適な職場ではないでしょうか。
当院は地域の二次救急を担う急性期病院ですが、残念ながら癌などの専門的な治療を行う拠点病院には指定されていません。薬剤師数もそう多くはないため専門分野に特化して業務を行うことは難しいですが、全員が高いレベルでオールラウンドに業務をこなせるジェネラリストでありたいと考えています。野球のように守備範囲に来たボールだけを捌けばよいというスタンスではなく、フォワードでも必要があればディフェンスも厭わないといったサッカー型の人材育成を目標としています。
薬剤師を目指す方へ
~当院薬剤部でのインターンシップ(職業体験)及び病院見学について~
当院薬剤部ではインターシップや病院見学を随時開催しています。調剤薬局へ就職される薬剤師が多いこの頃ですが、薬剤師免許取得後「最初は病院という医療の現場で働く」ということが薬剤師人生においてとても貴重であると思います。薬学部での学年は問わず参加していただけますので、希望される方は薬剤部中島(電話番号0267-22-1070(代表))まで気軽にご連絡下さい。中高生の参加も歓迎です。