内視鏡で癌を切除
内視鏡で癌を切除
胃腸科 黒岩教和
内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD) 粘膜層にとどまる早期癌なら転移がほとんどありません
胃や大腸の内視鏡というとつらい検査というイメージがつきまといますが、スコープの改良が進み、経鼻内視鏡などの登場により苦痛も以前よりは軽減され、一方で色素撒布や拡大観察などにより診断能も向上しています。開腹手術に頼っていた胃癌や大腸癌の治療もこの10年ほどで体への負担の少ない腹腔鏡手術が発達し、さらに近年では、転移のない早期の癌であれば手術によらず内視鏡による切除も可能となり、手術と変わらぬ治療成績を挙げています。内視鏡は診断だけではなく治療にも活躍しています。
従来はポリープのみが切除の対象でしたが、器材も年々進歩し、現在では内視鏡的に粘膜病変の下(粘膜下層)を剥離する技術が発達しました。ESDと呼ばれる手技です。これにより大きさが数cmの病変でも切除が可能です。ただし、適応となる早期癌であるうちに発見することが必要ですので、症状がなくともできれば胃では1〜2年ごと、大腸でも3年に1回程度の検査を受けていただくのが望ましいと考えられます。手術せずに治せるならその方がよいですね。